今日から、バンクーバー・オリンピックが始まりました。バンークーバーは比較的温暖で、冬といっても本来あまり寒くはないところですね。
カナダのナショナルプロジェクトR2000(本当か否かは別として、西暦2000年にゼロ・エネ住宅を普及させようというプロジェクト)が進展していたときに、多くの超高性能断熱気密住宅が建設され、ツーバイフォー住宅を日本に移入していたカナダと住宅の高性能化を目指す日本との思惑が一致し、日加学識経験者会議が十数年近くに渡って相互の国で開催された経緯があり、委員会の委員としてそれに係わった思い出があります。
当時、日本では、壁体ないの断熱材に蓄積された湿気を夏季に排湿することを前提に、外気側外装材の内側に通気層を設けることは不可欠とされていましたが、カナダにおいてはツーバイフォーの面材の合板表面防水紙を張り、それにスタッコ(モルタル)を塗るという施工方法が一般的でした。
よく、バンクーバーに行っては、住宅建築の現場をレンタカーを借りて見て回りましたが、室内高温側の気密層はこれでいいの?というほど欠損が多く、熱湿気同時移動方程式を使わずとも、定常計算で結露計算をすると外壁裏表面に結露水が蓄積する結果となり、本当に大丈夫なのかと考え込んでしまったものです。
結果、何年後かに、バンクーバー付近で建築されたR2000の住宅の外壁が剥がれ落ち、内部を調査してみると合板が腐朽していることが多いことが判明しました。その結果、面材の合板表面と外壁材の内表面の間にレインスクリーンと呼ばれる通気層が設けられるようになりました。レインスクリーンの効果は、外壁表面からクラックなどを通じて浸入した雨水が、合板に至らずに下方へ落ちて合板を浸水させないということと、室内側からの水蒸気を円滑に排湿させるというものですが、今でこそ水蒸気が円滑に通過できるような透湿性防水シートが用いられているものの、当時はそれでも水蒸気の透過性が良くない防水紙などを合板表面に張るなどの施工例が多々あり、中古住宅の流通が多いカナダでもR2000住宅は買わないのが賢明という時期がありました。
さて、今日の盛岡は相変わらず寒く曇天です。でも、ソーラーボイラーで給湯タンクの温度は50℃を超えていました。
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