こんな考えも・・・・

住宅を断熱気密化することで、省エネルギー化することはファーストステップにせよ、実のところ断熱気密化した住宅のエネルギー消費量がどうなっているかという実態調査をしてみると、住宅の全体でのエネルギー消費量は増加していることが多い。

この理由はどうしてかいうと、住宅の断熱気密化によって冷暖房のセントラル化が可能となるため、冷暖房をする居住空間の面積的な拡大がされるからである。

とはいえ、今まで住んでいた住宅と比較すれば、居住空間の快適性は遥かに増しているし、また支払う光熱費で考えれば、今までの住宅の居住空間の何倍もの面積を冷暖房することができるから、合わせ考えればお得感的に光熱費が掛からない住宅とついつい言ってしまいたくのが本音かと思う。

このようなことを言うと、たくさんの反論が出てくることは目に見えているが、断熱気密化して従来よりもエネルギー消費量が少なくなったという住宅の熱環境の測定してみると、PMV±0~0.5(性別、年齢、被服量、室内表面温度、空気温度、湿度を加味して、人が快適か否かを判断する数値指標。PMV±0~0.5という数字は、例を上げれば外気温度が-10数℃でも室内で半袖Tシャツで横になっていても、寒くもなく暑くもないというイメージ、北欧の住宅の室内環境はだいたいそうなっている)というような快適域の室内空間はほとんど皆無で、こういう状態に保って以前に居住していた住宅と同様なエネルギー消費量、もしくはされ以下の断熱気密住宅というのはめったにお目に掛かれないのが実情なんですね。

このような環境の室内気候を実現するとなると、必然的に暖房温度を高くしたり、冷房温度を下げたりしなければならないわけだが、そうなると必然的にエネルギー消費量が増加することになるわけで、だとすればその分、どこかのエネルギー消費量を削減すればどうにかつじつまが合わせることができる訳なのだが、果たしてそんな方法があるのか・・・

実は、住宅の中でエネルギー消費量が最も大きいものが給湯用のエネルギーで、このエネルギー消費量を少なくすれば辻褄を合わせることも可能で、あるいは照明など電灯エネルギーの消費量を減らせばもっと辻褄合わせをすることができる可能性が生じることになります。solar_02.gif

                                       住宅で使われるエネルギーの内訳割合

ただし、エコ・キュートは深夜電力メニューの電気コストでお湯を沸かすのでエネルギーコストを減らしても、夜間に深夜電力を大量使って給湯用の熱を作るため、二酸化炭素を削減することにはならず、環境に負荷をかけることになるので、環境のことを考えれば良いとは間違っても言えません。要は、発電所で発電量を調整することはできないので、深夜に余剰電力を叩き売っても買ってもらおうと考えた結果の産物で、エコはエコでもエコロジーではなくエコノミーのエコなんですね。 捨てるのがもったいないので、使ってもらおうというのであれば、ちょっとはエコロジーなのかも・・・・

そんなことで、環境先進国では、可能な限り太陽熱のような再生可能な自然エネルギーで、必要な給湯用エネルギーを確保する方法が普及しているわけで、冬に日射がないようなスウェーデンが世界でもっとも太陽熱利用が普及しているということをほとんどの人は知らないと思います。 ヨーロッパでは、低温で日射量が少ないところでも、十分に給湯用としての熱が造れる技術が普及しているのですが、残念ながら今もって日本ではそういうシステムがありませんでした。そこが原点となって、世界第二位の熱源設備パーツメーカーと提携し、冬でも高温を造れるアトムのソーラーボイラー開発プロジェクトがスタートした訳です。

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           エネルギー消費量を半分以下にした(月1000ℓ⇒500ℓ)にした施工例

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このページは、アトム環境工学が2010年2月16日 02:09に書いたブログ記事です。

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